日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2022年1月28日話を噛み合わせるために相手の話をよく聴こう!

皆さんは「話し上手は聴き上手」という言葉を聞いたことはありますか? 話し方の本などを読むとこの言葉をよく目にします。では、この言葉には、どういう意味があるのでしょうか?



私はこの言葉を次のように解釈しています。話しがうまいと思ってもらうには聞き手が話に納得し、共感してもらうことが必要です。そのためには、話し手は自分の考えや感じていることを聞き手も同様に考えたり感じたりできるように話さねばなりません。場合によっては聞き手の考えや感覚に沿って話をせねばなりません。つまり、聞き手の感情や思考をつかんでそれに沿って話しをすることが話し上手の前提になるわけです。聞き手の感情や思考をつかむには、当然ながらそれらをつかむまで聞き手の話を聴くことが絶対に必要です。まず、相手の話を、相手の立場に立って聴いて、相手が何を考え何を感じているのか、しっかりつかみます。そして、つかんだ相手の感情や思考に沿って話しをするのです。

しかしながら、相手の話を聞くということは、実際はなかなか難しいのです。人間は本来、話したい、という欲望がありますし、相手の考えよりも自分の考えを優先して考えがちだからです。それは日常会話でも端的に表れます。
Aさん:「先週、沖縄に行ってきたんですよ」
Bさん:「沖縄ですか! でも今はコロナの影響で観光客も少なくてちょっと寂しかったんじゃないですか?」
Aさん:「ああ、その点はそうですね。確かにビックリするくらい人は少なかったです」
Bさん:「そうですか~ 緊急事態宣言も延長されたし、この時期は仕方ないですね」
Aさん:「ええ。お店も閉まっている所が多かったですよ」

上の会話は、話しが噛み合っていてBさんは聴き上手のように思われるかも知れません。でも、実はAさんは沖縄で見た景色が素晴らしかったという話しをしたかったとしたら、どうでしょうか? 上の例ではAさんは景色の話しが全くできていませんし、コロナ関連の話になってしまったので今更景色の話もしにくいですね。そう考えると、Bさんは聴き上手とは言えません。

これは、BさんがAさんの話を聞いてすぐに次々と質問をしてしまっていることに原因があります。聴き上手になるためには、話しの方向性が見えるまで自分の考えで話しを進めないことが肝心です。
Aさん:「先週、沖縄に行ってきたんです」
Bさん:「沖縄に行ってきたんですか! どうでしたか?」
Aさん:「こんな時期なので人は少なかったんですけど、私、どうしてもこの季節の沖縄の青い海を見たかったんです」
Bさん:「そうだったんですね~ 青い海を見たかったんですね」
Aさん:「ええ! 特に素晴らしかったのが~」

Bさんは、Aさんがどんな話をしたいのか、ある程度わかるまで、殆どオウム返しをしています。オウム返しは相手の話を聴いていないように思われますが、話しをしたい相手には全く気にならないものです。この例では話しを聴くだけで終わっていますが、Bさんはオウム返しなどで相手の考えや感情をつかんでから自分が思っていることを話せば話しが噛み合います。まず相手の話を相手の立場に立って聴き切りましょう。それから自分の話をしましょう。これはビジネスなどで相手を説得する場合でもとても重要なことです。

ぜひ、話しをする際には、まず、相手の話をしっかり聴くことを意識してみてください。

日本話し方センターのベーシックコースでは、話を聴く、ということも講義やトレーニングを通して学んでいただいています。ぜひ一度無料体験教室にお越しください。
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